徳島県議会議員 笠井国利の部屋

委員会発言

平成26年12月定例会 防災対策特別委員会

平成26年12月18日(木)
笠井委員
この間の総務委員会で木南議長がIP電話のことについて質問されましたけど,私も違った方向から質問してみたいなと思っております。というのが,今は,東北,北海道のほうですごい豪雪で毎日のように報道されておりますし,昨日は,私もちょっと町を歩いていましたら,本当に歩いとる私が吹き飛ばされるぐらいの風が吹いておりました。ということで,ここ数日は徳島県の報道がなされなくなったわけでありますけども,四国で12月5日,6日にかけましてすごい雪が降って交通網も停滞するし,あるいは,孤立の方々が非常にたくさん出て,なかなかこれが解消できなかったということで,本当に1週間ぐらいの間は徳島県のことばっかりがテレビで報道されました。いいことで報道されるんだったらよかったんですけども,南国四国の徳島県でもこういう被害があって,なかなか,西も啓開もできずに非常に住民が不安であったということで報道されておりました。報道の中で,なぜ孤立したか,あるいは不安が広がったかというのは,IP電話が使えなかったというんですね。徳島県の場合,今,光ケーブル通信網が日本一整備環境率がいいということでサテライトオフィスとかでいろんな企業がきている。そういう中でこういうことを連日のように報道されると,やっぱり悪影響が出るんじゃないかなと思うんです。
じゃ,普通のアナログの電話だったらいけたのか。いけたんであれば,まだアナログの電話を引く方もあると思うんですけども,せっかく,徳島県は光ケーブル網が非常にいいということで企業が進出しつつある時期にこういう報道がされた。IP電話あるいは固定電話の切断ということで,本当にIP電話だったから駄目だったのか,固定電話であればいけたのかということを,はっきり証明していただきたいなと思います。まず,固定電話が本当にあの状態で使えたのかどうかというのをお聞きしたいと思います。
坂東危機管理政策課政策調査幹
IP電話と一般の固定電話に関する御質問でございます。まず,IP電話について御説明いたします。IP電話と申しますのは,通常の電話と異なりましてインターネットを使って音声をやり取りするものでございまして,メールなどと同じように小さなデータの単位に音声を変換して送信し,それで通話をするという方式のものでございます。今回の,停電のためにIP電話が使えなかったという報道につきましては,IP電話で通話を行う時に必要な機器,具体的にはインターネットの回線から電話のほうに回線を引き込んでくる時に変換をする機器,間に挟みます制御用の機器がございまして,こちらのほうにも電源が必要ということで通話ができなかったことが主な原因となっております。
一方,通常の固定電話につきましては,電話回線を通じて通話に必要な電力が供給される仕組みとなっておりまして,そのために構造的,原理的には通話が可能ということになっておりますが,最近のファクス機能とかが付いております多機能電話,こういったものの一部の機種におきましては停電のときに同じように電話機本体が使えなくなるという物もございます。したがいまして,IP電話のみが停電による障害を受けたということではないというのが,まず一点ございます。
それから,もう一つございますのが,このIP電話も一般電話も同じように有線,いわゆる通信線によって音声をやり取りしているという構造的な問題がございまして,この線が切れてしまえばIP電話であろうが一般電話であろうが通話ができないということには変わりございません。こうした通信インフラの中で,有線のインフラによる通話,通信というものにつきましては,この経路のどこかが切れていれば通信ができないということになりますので,様々な災害を考えた場合は,有線が損傷を受けること,停電もさることながら,通信インフラそのものの途絶というものも考えた対策が必要と考えております。
こうした断線につきましては完全に防ぐことは困難ではありますが,例えば,架線をしております電柱などの付近の倒木対策などを行うことにより,一定の効果はあると考えられますけれども,この有線のインフラというものに関しては完全ではないというふうに考えております。
笠井委員
そしたら,IP電話だから通じなかったんじゃなくて,テレビなんかの報道を見てみますと,一つの電柱,あるいはNTTの柱だったのか分かりませんけども,電気の線も入っとる,あるいは固定電話の線も入っとる,そしてケーブルの線も入っていて,一つの電柱を各社が利用していたと。それが倒れると駄目になって,停電も起きたし,電話の通信網もやられたということで,今聞いてますと,特にIP電話だからやられたというんじゃないわけですね。それ,あれだけ報道されると,本当にIP電話って悪いんかなという印象を与えてしまったんじゃないかなと思うんです。
しかし,今後こういう容量を同時に運べる光ケーブルというのはますます普及してくるし必要になってくると思うんで,もしこういうふうな停電のときにIP電話に弱点があるとすれば,これから何らかの対策を打っていく必要があると思うんです。行政としてこれに対して,せっかく通信網が日本一の徳島県でありますので,何か対策を考えていかなきゃいけないと思うんですけども,そこのとこはどういうふうにお考えなんでしょうか。
坂東危機管理政策課政策調査幹
停電の際のIP電話も含めた通信の対策ということについての御質問でございます。まず,IP電話に関しましては,停電対策というものについて,一般の事業者,通信事業者ですね,例えば,NTTでありますとか事業者のほうからも一般家庭向けのIP電話用のバックアップの電源というものが販売をされております。これは,数千円単位で販売をしておるものですが,こういったものを導入いただくことで簡単に災害のときの一定の機能を確保するということが期待できます。
また,先ほど固定電話につきましても,停電した場合に電話機そのものが使えない物があるという御紹介をさせていただきましたが,こちらについても,御家庭で,例えば,普段,最近の電話は留守番電話とかの機能が付いておりますのでコンセントが付いていると思うんですが,それを一旦抜いていただいて,その状態で通話ができるか,ツーという通信音が出るかどうかということを確認いただけると,その電話が停電時の対応になっているかどうかということを御確認いただけます。私どもとしては,一般の方にそういうふうな形での啓発というものを図っていきたいと考えております。
笠井委員
例えば,簡単なソースでもって,電気が停電すればIP電話が使えるような装置が安くあるって,今,おっしゃられましたけど,これに対して,例えば,そういう孤立集落になるであろうとこへ県として補助金を出して,こういうのがありますよと,補助金も付きますやいう計画はあるんでしょうか。
坂東危機管理政策課政策調査幹
一般の孤立集落向けの対策についてでございます。 その前に,今回の雪の関係で御紹介いたしますと,一部の地区では,IP電話,固定電話,いわゆる有線系の電話が倒木等により線が切れた,若しくは停電をした状態で使えない状態でも,一般の携帯電話,こちらのほうは利用ができて孤立集落内の方々と連絡を取ることができた事例が報告されております。
したがいまして,その孤立集落における対策としまして,一つは,固定電話の代わりにいわゆる携帯電話,こちらを活用するということも周知をしてまいりたいと考えております。固定電話も含めまして,先ほどのIP電話の電源の話もありましたが,この携帯電話につきましては,やはりバッテリーで通話をしておりますので,通話時間が限られております。したがいまして,携帯電話も含めた電源対策として,先ほどモバイルバッテリーという物を御紹介いたしましたが,そちらの商品によっては携帯電話のほうに充電ができるような形の物も出ておりますので,そういった形で情報の複線化を図るということが一つございます。これは,一般の方向けに,是非我々のほうで啓発を図ってまいりたいと考えておる点です。 それから,一方,いわゆる孤立集落につきましては,とくしま−0(ゼロ)作戦緊急対策事業としまして市町村を通じて衛星携帯電話などの配備を行ってまいりたいと考えております。これまでにも,この事業を活用いただきまして,西だけでなくて,全県的な各地で衛星携帯電話の配備にも努めておるところでございます。以上です。
笠井委員
今,携帯電話が使えたということでしたんですけど,阪神・淡路大震災であるとか,あるいは東日本大震災の時は,もう混線したというか,集中しまして使えなかったんです。
でも,今回の場合は,携帯電話は使えたということですけども,今回孤立したような集落というのはやっぱり高齢者の方が多いと思うんですけども,高齢者の方でも携帯電話普及率というのは高かったんですか。
坂東危機管理政策課政策調査幹
携帯電話の普及率に関する御質問でございますが,ただいますぐにはちょっと,集落ごとの契約数というものは持ち合わせておりません。ただし,集落に関しましては,ほぼ何らかの電波,例えば,ドコモであるとかauであるとかソフトバンクであるとかの……。
(「ないとこあります」と言う者あり)ない所はもちろんあるんですけれども,多くはカバーエリアに入っておりますので,使える状態になっていると考えております。
笠井委員
私もよく山なんかに行くと,最近はほとんど,例えば,御嶽山の頂上へ行ってもNTTがアンテナを上げて通じるようになっているんですけども,やっぱり利用者が少ないとこというのはどうしても中継塔というんですか,そういうのが少ない。今,西沢委員もおっしゃいましたように,電波が本当に届かない,圏外と出るとこがあるんですけども,今回の孤立した集落にはそういう支障はなかったんですか。携帯電話が全然圏外になってしもて使えなかったやいうことはなかったんですか。途中,道中は山の中で一部あるかと思いますけども,集落の中では,これはなかったということですか。
坂東危機管理政策課政策調査幹
孤立集落における携帯電話の通話エリアの確保の関係でございますが,所管としては地域創造課の所管になっておりますけれども,一部では,やはりいわゆる不感地区というものが出ていたというふうに聞いております。
この不感地区対策といたしましては,総務省の事業としまして不感地区の解消についての補助事業というのがございまして,市町村,それから通信事業者と費用を負担しながら,これらを積極的に活用して進めていきたいというふうに伺っております。
笠井委員
いろいろお聞きしましたけども,やっぱり想定外ということが起きるんですね。私は,徳島県で,雪のためにああいう孤立集落が出るというのは考えてもいなかったんですけども。やっぱり世界気候の変動の中で本当に異常気象が続いておりますので,いつどんな状態でこの前のような孤立集落が出ると限りません。そういう中で,やっぱりあらゆる手段を使って孤立しないような方法,例えば,電話1本でもつながると安心できますし,テレビが見えると状況が分かります。そういうことがたくさん要ると思いますので,これから,県として,こういう被災時の連絡手段をどうしても確保していかなきゃいけないだろうなと思うんですけども,今回の大雪を踏まえて危機管理部長の決意をお聞きしたらと思いますので,お願いいたします。
床桜危機管理部長
笠井委員から通信手段についての御質問を頂いております。まずは,平時においても災害時においても真っ先に手に取るのがやっぱり電話だということなんですけれども,電話に関しましては,全国の状況を見たら約2億件ほどの加入者があって,そのうちの7割がもう携帯,あと3割,今,たしか6,000万件を切って5,500万件程度になっていると思いますけれども,固定電話は年々減少していくという状況でございます。その中で,固定電話の中でもいわゆるアナログ電話とIP電話の状況を見ると,IP電話化がどんどん進んでいて,昨年度末にはIP電話のほうが固定電話の主力になっている。
これは,正に全国の流れでございます。今回,西部のほうで起きた課題というのは全国の課題でもあるとこのように捉えるべきだと考えております。
先ほど申し上げましたように,IP電話は確かに停電すれば動きませんけれども,ただ,8,000円程度の無停電装置を付けていただければ,一定の時間制限はございますけれども,それは可能だということもありますので,やはり自己防衛ということも踏まえて,今後携帯電話も,確かに不感地域という問題はございますが,これに関しましては,この前,政府調査団がこられた時も,是非国のほうで財政負担をしてくださいという要望もさせていただきました。携帯電話につきましても,東日本大震災の際には,基地局そのものがダメージを受けてそれで駄目になったという場合もございます。そのことに関しましては,通信事業者が防災に関する強化というものをやっていただいているというふうに考えております。これは,是非それを加速していただきたいと思いますし,今回は緊急に配備をさせていただきましたけれども,手回し式の充電器,あるいは自動車のシガーソケットから引いていただくような装置も安く手に入りますので,これまた自己防衛としてもお願いできたらなと,こういうふうに考えております。 あとは,一つの機器でもって対応できるということはありません。やはり強み弱みを知っていただいて,弱みに対する対策を是非ともお願いをしたいと思っておりますし,県としても,個人単位ということにはなりませんが,例えば,限界集落を一つとった場合に,その中の長の所に,例えば,無線機を配備させていただく。これは,市町村が配備する場合に,県としてもそれに補助金を出すと。今回,緊急対策の中でもそういう補助制度というものを適用できるようにいたしましたので,是非とも,通信手段多重化をもって災害からいかにして身を守るかというような取組について,市町村ともしっかり連携をして取り組んでまいりたいとこのように考えております。以上でございます。
笠井委員
今,部長から心強い御返答を頂きました。災害というのは本当にいつくるか分からないし,南海トラフ大地震もいつの間にやら30年に70パーセント以上と変わってまいりました。
やっぱり70パーセント以上ということは明日起きてもおかしくない状態です。そのためには,弱点も分かっているんですから,できるだけ早く,それを行政として皆さんに伝えてほしいし,行政ができるバックアップはしてほしいなと。少しでもそういうときに被害が少なくなるように努力していただきたいなと要望しておきます。
それから,もう一つ,最近,道を走っていますとよく目にするのが標高何メートルですやいう。今日も,私来る時に四国放送の前に,ここは標高何メートルです,2メートルですって書いてあるんですけども,あれというのは国がやっているのか,あるいは県がやっているのか。もしやっているとすればどのくらいやっているのか,まず,お聞きしたいと思います。
久保道路整備課長
道路の海抜表示についての御質問でございます。道路施設に海抜を表示いたしまして,道路利用者とか沿道住民等に海抜情報を提供して防災意識を高めるとともに,避難行動に活用してもらうということで整備を進めております。
県管理道路についてちょっと御説明させていただきます。県管理につきましては,平成25年までに194か所設置しております。それと,国土交通省につきましては,今,直轄国道で徳島県内で140か所設置してございます。以上です。
笠井委員
今,県管理が194か所で国の直轄で140か所,合計334か所付いているということなんですけども。これは,例えば吉野川市ぐらいになると,別に標高幾らやいうて付けなくても津波の心配がないと思うんですけども,大体どのくらいの地域までにこういう標高の表示板を付けているのか分かりますか。
久保道路整備課長
今の目安といたしましては,平成24年10月に県が公表いたしました津波浸水想定のエリアを踏まえまして,まずは海岸沿いの市町村ということで整備を進めております。
笠井委員
海岸沿いの津波が来るであろうというとこへ,現在334か所付けているということなんですけども,これは,どのくらいを目標に付けようとしておるんでしょうか。
久保道路整備課長
県管理の分についてちょっと御説明させていただきます。県管理の海抜表示につきましては,先ほど194か所ということを説明させていただきました。今後,今の設置間隔を更に密にすることによって,その情報をよりきめ細かく提供するようにということで,平成28年度までに300か所計画しております。これにつきましては,先ほど説明いたしました国土強靱化地域計画(骨子案)の中にも,そういうことで数値目標を示してございます。
以上です。
笠井委員
今,説明いただいたのは県関係,あるいは国の関係の所なんですけども,市町村というのは,これはどういうふうになっとんですか。県が指導して付けなさいと言うとるのですか,あるいは市町村独自でこういう表示をされとんでしょうか。
久保道路整備課長
四国の県は全て同じ規格,表示内容にしておりますけど,市町村によりましてちょっとばらばらの所もございます。ということで,指導等はいたしておりません。
笠井委員
とすれば,市町村道路に関してどのくらい表示されているというのは,県のほうとしては把握はされていないんですか。
久保道路整備課長
ちょっと今,手元には集計の数字ございません。
笠井委員
また,是非,委員会でもいいし個人的にでもいいんで,市町村の状況も分かれば教えていただきたいなと思います。
本当に,我々が車で走っていましてあれを見ると,やっぱり意識啓発になるんです。あ,ここ海抜何メートルか,じゃあここへ逃げたらいいなとか。これは,いつも私らが住んでいるよく知っている町だったらあそこへ逃げたらいいわ,例えば,私であれば,加賀須野大橋の上へ逃げたら心配ないわって思うんですけども。車で走っている人が知らない土地へ行ったときって,もし地震が起きて津波が来るというときにどこへ行ったら助かるんだろうかというのが,やっぱりあの表示があることによって分かると思うんです。だから,初めて通る道であっても,そういう表示があれば,それこそ助かる命は助かると思いますので,できるだけ速やかにいろんなとこにそういう表示板を設置してもらいたいなと。
市町村のことはよく分からないとおっしゃっていましたけども,県や国だけじゃなくて,市町村も表示してある,あるいは,表示をたくさんしてもらえるように県のほうから要望して,やっぱりとくしま−0(ゼロ)作戦ということで3万1,300人の中から一人も予想どおりにならないように,ゼロに近づくように,いろんなあらゆる想定をして取り組んでいただきたいなと思います。以上でございます。

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