それでは質問に入りたいと思います。

先ず初めは農業問題に関してであります。
私が若かりし頃は3ちゃん農業と言いいまして、 じいちゃん、ばあちゃん、かあちゃんが農業をし、旦那さんは勤めに出て外貨を稼ぐと言うスタイルでありました。
今の農家の実態を見てみますと若者夫婦は外に働きに出て、 お年寄り夫婦が農業をしている、いわゆる2ちゃん農家がほとんどであります。
にいちゃん農家と言いましても、お兄ちゃんが農業をしているのではなく、じいちゃん、ばあちゃんが農家をしているのであります。

にいちゃんならまだ良い方かも知れません。
中にはじいちゃんが、ばあちゃんの介護をしながら農業を続けて いると言うような農家も増えて来ております。
何故日本の農業はこんな事になってしまったのか・・・

私が思いますに、1986年、南米ウルグアイで開催されました ガット閣僚会議での合意に基づき、実施されました農業政策から 農業衰退の一途が始まったのでは無いかと思っております。

ウルグアイ・ラウンド交渉は1986年9月に南米ウルグアイの プンタ・デル・エステで開催されました、ガット閣僚会議での合意に基づき開始され、サービス貿易等の新たな分野を含む 包括的な交渉として進められ、1993年12月に合意に至ったと推察いたしております。

その当時の本交渉におけます農業交渉の特徴は、 国内支持(農業補助金等)や輸出競争(輸出補助金等)にまで 交渉の対象が拡大されたことによりまして、各国の国内農業政策にまで影響を与えるような結果となったことがあげられます。

本交渉の結果、市場アクセス(関税や関税割当て等)、国内支持、輸出競争の3分野の保護水準を95年から2000年までの 6年間で一定水準削減すること等を内容とするWTO農業協定が 合意をされました。

当時の政治状況は戦後初めて自民党政権が倒れ、 野党連合による政権が誕生した時でもありました。
総理大臣は熊本の殿様と言われた方でありまして 農業政策など一切分からない、農業に関しては「ずぶの素人」同然の方でありました。
皆様方も記憶にあると思いますが、ボールペンで記者を指さし パフォーマンスだけは一流の方でありました。

まるで民主党政権初代の総理と同じで、ぼんぼん育ちで庶民の事が全く理解できない、金持ちのお坊ちゃまでありました。
その方も1年も持たずに政権を投げ出し、政界から引退した方だったように思います。

食管法によりまして日本の農業を守り続けてきた国策を一変し、 農業政策を根底から揺るがした、大きな出来事でありました。

日本国では米が余るから減反せよとの政策を掲げ、減反政策は 一段と厳しくなり、今でもその政策は継続されております。

それなのに海外から米を輸入する、それも協定の中身は その年は10万トン輸入することとされておりました。
それだけならさほど影響は無いと思われたのありますが、 翌年からは10万トンずつ増えまして、今は76.5万トンにまで輸入を余儀なくされる農業協定でありました。
その上、この度ミャンマーから5.000トンを日本が米の受け入れをすると言うことであります。

米農家が衰退しきってきた今、また農業を取り巻く環境はTPP問題が急浮上し大きな話題となりました。

徳島県議会でもTPP反対表明を致した所であります。
TPPが実施されますと、徳島県の農業売上高が213億円余りも減収すると言う試算がこの度、発表をされました。

農業を取り巻く環境は、後継者不足、耕作放棄地の増加などの 問題が山積する中、TPP参加となれば、より一層、厳しさを増すことになります。

知事には、本県の基幹産業であります農林水産業がこのような 難局を乗り切るための確かな舵取りを期待するところであります。

そこで、農業振興について何点か、知事のご所見をお伺いいたしたいと思います。


まず初めは「儲かる農業」を担う農業人材についてであります。

先般4月5日、「農林水産総合技術支援センター」が、 石井町に完成し、開所式が行われた所であります。
農林水産業の研究、普及、教育の3部門が統合され、 生産現場の課題にワンストップで対応できる施設であります。
農林水産業を営む者にとりまして、誠に心強いセンターが誕生致しました。

4月24日には、経済委員会で施設内を視察させていただきました。
農業大学校では、研究室にお邪魔し、卒業研究に熱心に取り組む様子を見せていただき、また研究部門ではLEDを活用した 害虫防除技術や、「かんしょ」の品種選抜試験の状況などを 視察させていただきました。

センターを核として「儲かる農業」の実現に向けまして、 県を挙げて力強く動き出したと感じると同時に、 私も「なると金時」を生産する農家でありますが、 私たち生産者も、このセンターの機能を自らの生産に活かすため、現場からの声を伝え、一体となって取り組んでいく事が重要であると感じた所でもありました。

「儲かる農業」を実現する主役は、言うまでもなく農家であり 丹誠込めて生産した商品が、消費者から高い評価を受け 「もうかる」事を念頭とするところであります。

県では「ブランド化」に向けました取り組みはもちろん、 6次産業化や農工商連携による付加価値の創造、さらには海外市場の開拓など、新たな感覚で「もうかる農業」の実現のために、 意欲的な取り組みがなされており、生産者の一人として成果に期待を寄せているところであります。

また、主役となる農業人材の育成につきましては、 「農林水産総合技術支援センター」の新拠点施設の開所に併せて、アグリビジネススクールを設置し、経営規模の拡大や法人化、 流通、加工分野との連携、さらには輸出を目指せと、 経営感覚に優れた農業人材の育成にも力を入れていただいております。
農業の担い手につきましては、「高齢化」と「収入の不安定さ」 等から生産者の減少は続いており、その経営も厳しいものが現状であり、一朝一夕に「攻めの農業」を展開する農業者が育成できるものではないと思います。

昨日の徳島新聞の記事にもありましたが、 2012年度の農業白書よりますと、農業全分野の中核的担い手の 平均年齢は66.1歳、稲作では69,9歳に達したとの事であります。
冒頭で申しました、まさに日本の農業はじいちゃん、ばあちゃんで 支えられていると言っても過言でないと思います。
農業再生には担い手の育成が最重要でありますが、 39歳以下の新規就農者の内3割が収入が不安定な事を理由に 5年以内で離職しているとの調査報告も示されております。

TPP参加交渉をはじめ、日本農業が大きな転機を迎えている、 今だからこそ、新規就農者をはじめ意欲ある若手農業者を積極的に支援し、「もうかる農業」の担い手として育成することが必要であると考えております。


そこでお伺いを致しますが。 「もうかる農業」を実現するためには、新規就農者をはじめ 若手農業者の育成が重要と考えますが、 県では農業人材をどのように育成し、 どのように支援していかれるのかお伺いを致します。


次に、農林水産物の「海外輸出戦略」についてお伺いを致します。

阿部総理は先月、「強い経済力を取り戻してほしい」との国民や、 徳島県民の声に応え、「成長戦略第2弾」を表明されました。
その中で日本の農産物・食品などの品目ごと、国別・品目別の 「戦略」を定め、約4,500億円の輸出実績を 1兆円まで「輸出倍増」させることを打ち出されました。

私は、農林水産物の「海外輸出」の促進は、農林水産業の可能性を高めるための取り組みとして欠かすことが出来ないと確信をいたしており、今後、ますます重要性が増してくると考えております。

県ではいち早く、若手生産者を海外へ派遣した「現地調査」や なると金時・梨の「試験輸出」、さらには羅針盤となる「輸出戦略」を国に先んじて策定するなど、矢継ぎ早に「輸出拡大」に向けました政策を打ち出されたことは、大いに評価をしたいと思います。

3月には実践的な輸出拡大に向けました生産者の取り組み支援を するため「輸出サポートセンター」を立ち上げられましたが、 「TPP」という荒波が押し寄せようとしている今こそ、 地に足をつけて、「輸出戦略」に基づき、着実に農林水産物の 「輸出拡大」に取り組めば、必ずや「成果」となって返ってくる ものだと大いに期待をしているところであります。

そこでお伺いを致しますが。

農林水産物の新たな市場を開拓し「輸出拡大」を図るため、 どのような施策を展開されるのか、 知事のご所見をお伺いいたします。


次に農業版BCP策定事業につきまして質問してまいります。
「東日本大震災」におきましては、想像を絶する被害がもたらされ、人命救助、被災地支援、生活・経済基盤の復旧に向けまして、 迅速な対策が求められたところであります。

農業におきましても、大津波により水路やポンプ場などの農業施設が破壊するとともに、海水等が流入し農地の冠水被害や塩害などをもたらすなど、沿岸部の営農活動が長期に滞り停止すると言う 甚大な被害が発生しているところであります。

被災された地域におきましては、復旧に向けました取組みが 今もなお進められているところでありますが、 農林水産省の発表によりますと、被災後約2年経過しました 平成25年1月段階で、約6割の農地におきまして未だ営農の再開に至っていないとのことであります。

本県におきましても、近い将来、発生が危惧されております、 「南海トラフ巨大地震」による大津波の被害が想定されています。

私の地元であります川内町におきましても、昨年10月の津波浸水想定では、地域の大部分が浸水する事になっており、ブランド品目である「かんしょ」・「レンコン」畑や沿岸部の低平地であることから多数存在するポンプ場も被害を受けることが想定され、 被災時におけます早期の農業用施設や農地の復旧、 その後の速やかな営農再開が望まれております。

そのため、こうした災害が発生した際にあっても、 早期の営農再開に繋がる体制や仕組み作りなど、 事前準備が不可欠であると考えます。 そこでお伺いをいたします。

本県は農業版BCPの策定を1年前倒しされた、とのことでありますが、前倒しの趣旨と今後の展開につきましてご所見をお願いいたします。