フィンランド ヘルシンキ都市景観と概要


都市景観と街の概要について

 フィンランドは人口526万人.面積33万8000ku、約日本の国土の90パーセントくらいの国である。18万もの湖を持つ美しい国フィンランドは、永年ロシアやスエーデンの支配下にあった。国土の3分の1が北極圏という厳しい環境下にあり彼らの熱い愛国心が雪を解かすかのようにその支配を1917年に解き放った国である。
 現在大統領は女性で、ヘルシンキ市長もこの前までは女性であった。男女同権が行き届いたと言うより女性の方が強い感のする国である。へルシンキには現在50万人、国の人口の約1割が首都に住んでいる。
 大卒給料は28万くらいで看護師さん小学校中学校の先生等が平均的であってスーパーの店員さん等はもっと安くて21万くらいである。家賃は3DKで10数万する。従って暮らしは余り楽ではなく、殆どが共働きで、部屋の大きさは25〜30平米位である。
 国としては人口一人当たり100万円くらいの赤字である。
 産業は国全体としてはIT関連の企業が多くなった。携帯のノキア社の本社などもこの町にある。
 また、コネと言うヨーロッパでは第2位のエレベーター会社、ホルツと言うエネルギー会社等が立ち並んでいる街でもある。また街全体を地域暖房を張り巡らし.地震がないので地下はトンネルだらけである。住宅用土地は街中まで20分くらいの所で10万円少々。建築費は800万円くらいである。
 直接税は45パーセントと高く、その上に消費税は25パーセントも掛けている。また新車を買う場合は120パーセントの税金がかかる。だから200万円の車を買うと440万支払わなければならない。
 しかしながら社会福祉が充実しているので貰った給料は貯める必要がないから殆ど使ってしまう人も沢山いる。しかも、残業すればするほど税金は高くなるから働かない。日本のようにサービス残業なんて絶対にあり得ない国であるとの事である。むしろ今ではフィンランドは日本の勤勉さに見習えとさえ指導しているらしい。

 生活保護は家族構成によるが16万円未満くらいから申請が出来る。学費は全て無料、病気の場合も医療費が非常に安い。また、失業補償があり手取りが少なければ失業補償をして貰える。
 例えば16万以下であれば月に10万しか収入が無かった場合、申請すれば6万円を国が保証してくれるのである。
 高福祉.高額納税の国である。

 街の景観については、ロシア時代のモダンな建築でヨーロッパ随一の美しさを醸しだしバルト海の乙女と呼ばれている街が残っている。
 その近くにはマーケット広場があり夏期にはバルト海で取れた新鮮な魚介類や果物などが並ぶ市が立つ。またアクセサリー店なども軒を連ねる。我々視察団が行った時には、少し寒くなっていたので夏の名残の露天は、ぱらぱらしかなかった。しかしながら屋内マーケットの中にはお店が所狭しと並び、地元の人達の憩いと買い物場所となっていた。
 その街を少し歩いていくと、御影石を敷き詰めた広場に出る。その広場は元老院広場と呼ばれロシア皇帝アレクサンダー2世の像が中央に建ちネオクラッシック調な建物が並んでいる。
 また、小高い丘の上には、1969年に岩盤を掘り天井は総ガラス張りで屋根がドームになっているテンベリアウキオ教会が市民を見守るように建っている。この教会はパイプオルガンも完備しておりミサの為の教会としてだけではなくて、音楽ホールや集会の会場としても貸し出しは可能であるとのことである。
 1952年に開催されたヘルシンキオリンピックのメインスタジアムの横には72メートルの塔があり山がないヘルシンキの街を一望できた。
 郊外には作曲家シベリウスの記念公園があり木々の間に突如現れるようにステンレスパイプを加工したモニュメントと彼の素晴らしい肖像画がある。ちなみにこのステンレス加工のモニュメントは、8年の年月を掛けて作ったとの事である。
 観光客が訪れ、見える所は整備も掃除も行き届いているのであるが一歩生活の匂いがする裏道にはいると煙草のポイ捨ては当たり前、ガムを噛んで捨てた後が路面一面に残っており、公衆道徳のなさが伺えた。また、例え自分の店先であろうと汚れていても掃除もしないのは、高額納税をしているから、そういったことは行政のする仕事であるとの認識らしい。高額納税が産んだ弊害のようである。


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