フィンランド高齢者福祉(エスポー市)


「ラウレアーアマティコウル」市管轄研究所

サービスクオリティプランナーのリトゥヴァ.クオスマネン.フィネールさんより説明を受ける

 エスポー市はフィンランドでは第2の大きな都市である。人口は現在23、3000人である。2005年現在、65歳以上が23、000人、75歳以上は8、766人である。
 フィンランドの全国平均からすると今はまだ高齢者が少ないが、やはり日本と同じように高齢者の割合が増え続けている町である。これからも高齢者は増え続ける予測である。その為行政は、これからも増え続けていく高齢者社会に向け戦略や方法を考えている。
 エスポー市は他の自治体と違い行政区を5つの自治区に分けている。自治区には5つの行政サービスがあり、そこが福祉を提供している。福祉サービスは子供が生まれてから亡くなるまでの間、この行政が健康保険.医療.高齢者サービス.保育サービス.福祉.教育.全てを提供している。

 大きなプロジェクトとしてエーワプロジェクトがある。
エーワとは予防的な医療.介護.看護をフィンランド語で省略して読むとエーワとなる。エーワ事業と言うのは助けが必要になる前に対策を考える事業であるが、以前はこんな組織はなかった。エーワプロジェクト(予防施策を考える機関)はできるだけ在宅介護で済むように予防的な政策を考える施設である。
 したがってエスポー市で老人ホームに入るのは家庭ではどうしても介護ができなくなった人ばかりである。

 そのエーワ事業を支援しているのがこのラウレア専門職業学校で、行政と一緒になってこの事業を進めている。
 組織は第3セクターの株式会社で、行政.大学.民間が出資をし保有している。従ってここで働き学ぶ学生の授業料は国が負担し学費は無料である。ここの学校の教育は主に看護師.保健師.その他福祉士とか英語での教育も行っている。基本教育はここでは3年半掛かります。その教育を終えた後仕事に就くが希望があればまた続けて此処で具体的な特殊教育を受ける事が可能である。目標は人の暮らしをよりよくすると言う考え方である。
 以前は専門学校は独自の教育をしていて他の機関とは協力して居なかったが最近は他の組織との協力パートナーシップが重要になってきました。それで大学.工業組織.そしてプライベートと第3セクターとの協力をするようになった。
 専門的な知識を持つ看護師.クライアント.それを研究する研究者.そして其れを又製品化.商品化する企業この4つが関わっている。良い物が開発できればそれを又エスポー市が買い上げ、福祉の事業として利用することになる。

 エーワプロジェクトの中には次のようなプロジェクトがあり、このプロジェクトは2005年から始まり2年間のプロジェクトと成って今年が最後の締めくくりの年である。その2年間の情報を集め、結果を検討し使える資料や情報が有れば来年度よりまた新たな事業として進めていく予定である。事業予算は全て国の中央行政から来ている。またこの事業には7人のスタッフが中心となり色んな人が関わって進めている。
1.リハビリ
2.ケアリングTV
3.65+サービスガイダンス(早めのアドバイス)
4.バランスクリニック(転んだり骨折しないために)
5.バケイション(休暇)
6.70歳以上に健康診断等

ケアリングTV

 Coping at home とは、できるだけ長く在宅で生活できる事を意味する在宅ケアの事業で、エスポー市.ラウレア市.そして通信会社のTDCソングと言う民間会社が関わっている。Going homeはEUの中の共通の高齢者福祉の1部に成っている こちらも65歳以上の自宅で住む高齢者の助けと成っている。
 この2つの事業を結び付ける物として福祉テレビがある。これをケアリングTVと言っている。
 目標は、できるだけ高齢者が自宅で生活できるようにするのが狙いである。この事業はテーディーシーソング株式会社とエスポー市とラウレア市が革新的に開発したサービスと成っている。
 今はケアリングTVを使って色んな方法で実験.研究.開発している。現時点の実験範囲はエスポーから始めて南フィンランドが中心であるが、結果が良ければフィンランド国内全土に普及をさせて行くのが目標である。現在は50人くらいの人達を選んでテスト段階である。同時に50人くらいの人達がテレビを見ながら話したり運動したり質問も出来る装置を開発している。そして個人的にも質問や相談もできるのである。言わばテレビ電話にも利用でき医者や指導員が自宅まで駆けつけなくても在宅ケアーができる訳である。
 この事業を進めていく上で常に利用者よりアンケートを取り、利用者の満足度や考え方.評価を常に聞きながらコスト面も研究の中に入れている。例えば、もし高齢者が入院生活に掛かる費用とケアリングTVで予防ができ、在宅できる時間が延びればどのくらいの費用の節約ができるのかをコスト面からも比較をしていく。
 このケアリングTVによって予防ができ、施設に入るのが遅れれば医療費の大幅な削減ができるのである。 今はテスト段階なのでどのくらいの削減になるのかは判断できないが、1日入院する費用と2週間の放送費用と同じくらいである。
 もしこれが成功すれば、大きな医療費の削減に成るだろうと思う。独居老人の家庭では、特にこの放送は(精神面でのケアーとして)大きな成果を上げるであろうと考えている。


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