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海外視察調査報告書 オランダユトレヒト市 
 『バイオロジカル研究センターにおける有機農法』について
  
 1600年前、ヨーロッパに一人の哲学者、デカルトが生まれ、『私は考える、それ故に存在する』と言って近代的科学が始まりヨーロッパ中にセンセーショナルな影響が巻き起きた。それまでは全てのものは神によってつくられていると信じていたからだ。その理論をデカルトが打ち破ったのである。
  
『科学とは』 
 初めは考えると言うことから学ばなければならない。それを始めるのには、まず物を見たり聞いたり、触れたりすることから始めなければならない。人間の感覚を使ってまず物を見る、見極めることから始まる。 
 人によって見方や感じ方、また特に文化によって同じ物でも違ったように見えるからである。見方という物は信頼できないのである。 
 だから計測をすること、長さを計ること、重さを計ること、数を数えること、それは世界中どこでも同じだからである。 
 それが近代的科学の始まりである。 
 これが正確な考え方を出すための条件なのである。 
 しかしこれは物質でなければならない。なぜなら物質でないと計れないからである。 
 オランダと日本は離れていても地層のベースになるのは御影石である。御影石が変化していって世界中にいろいろな土壌が生まれた。 
 その変わった物を分析する。それが科学なのである。
  
『組織・遺伝子組み替えはいけない…』 
 人間は自分で考えて選ぶ力を持っている。 
 遺伝子組み替えはいけない。ただいけないではなく何故いけないのか考えて欲しい。遺伝子組み替えは動物でも植物でもそうであるが、元々あるべき性質を変えてしまう。そのことが本当に恐ろしいことなのである。 
 遺伝子組み替えは妄想である。遺伝子組み替えは、遺伝子を組み替えることによって数と量だけを考えている。だからいけないのである。 
 地球に対する優しさがあってこそ人間なのである。 
 だから人間は地球に対して優しさを持たなければならないのである。 
 ヨーロッパ全体ではアメリカと違い、遺伝子組み替えは強い反対意見がある。 
 しかし、オランダ国としてはその中間を取るというのが国の考え方である。 
 ただし安全を十分研究して害がないということがわかれば認めても良いとのことで、国民が自分でそれを選ぶとことを奨励している。
  
『バイオロジカル研究センター』 
 所長のリットヘルト博士は大学で農業を学んでいたが多収農業に疑問を感じ、同じ考えを持つ学生達とバイオロジカルダイナミック農業を学んだ。 
 1977年、今の地に5ヘクタールの土地を確保し、特殊財団を設立し、有機農業のトレーニングを始めた。 
 このセンターは土地や人間、植物や自然を尊重した方法で教えていくことを基本としている。 
 また普通農業から有機農業に切り替えたいという人達を指導しており、有機農業からもう一段ステップアップした、有機ダイナミック農業をしたい、もっと知識を高めたいと希望する人達が学びに来る所である。 
 また会社のマネージャー的な人達もここへ学びに来ている。 
 国や行政から金銭的な援助があれば、国からの規制を受けるが、今は財政的に援助なしで経営ができているので、一切の規制は受けないことから最先端の研究ができる。 
 またこの学校はここで学ぶだけでなく、先生達が農家へ出かけて行って、年間150人から200人の農家の人達を指導している。 
 1回だけの指導では十分な学習ができないので、2年コースの課程も設けてある。
  
『ダイナミック農法』 
 この方法は、ミミズにより土壌を改良し、自然農法を基礎としている。 
 有機農法はミミズやバクテリアによって回転しているが、化学肥料は点滴を打って一時的に押さえているようなものである。 
 オランダは以前から生ゴミ政策が進んでおり、90%の生ゴミをコンポストに入れて処理することで、生ゴミが減量できるだけでなく、ゴミを焼却するより安あがりになるのである。 
 一方、狭い国土で人口密度が高いため、ゴミを減量しなければならない理由もあったようだ。その結果ダイナミック農法が進んだ。 
 自然農法は環境保護につながっている。
  
『有機農産物とダイナミック農法の展望』 
 有機農法の3大先進国はドイツ・スイス・オランダである。国民に有機農産物とそうでないものと、どちらが良いのかと尋ねると、40%の人は有機農産物が良いと答えるが、その内の25%の人は考えは良いが、買うときはやはり安い方が良いと答える。有機野菜の値段は10%から20%ほど高いかもしれないが、ほうれん草を例に取ってみると、1sのほうれん草を5分間茹でると、普通栽培ものは450g減り、550gになるが、有機栽培のものは280gしか減らず、720g残る。
だから10%から20%高いといっても食するときは安くついている勘定になる。その上、農薬を使用していないのだから安全性に優れているというのは間違いない。 
 消費者は、通常の価格よりも割高であっても、ダイナミック農法で生産された農作物を購入する傾向にあり、量より質の時代である。 
 また、生産農家において、一般的な農家より有機農法による農家の方が10%から20%くらい儲けが良い。 
 農家も安全でお金がかからず儲けの良い有機ダイナミック農法をますます取り入れていくであろう。また栽培面に関しても、今年のような異常気象の時も普通栽培の場合は被害が大きかったのに比べ、有機野菜は影響を受けなかったということが証明できたことで、この農法が急速に発展するであろう。 
 オランダにおける目標は有機農法の面積を2010年度には10%まで拡大することである。21世紀の終わりにはこの有機ダイナミック農法が主流になっているだろう。
  
『有機農法は流行うさりではないのである。』
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