海外視察調査報告書 フランス パリ市
 『市街地の景観』について


 欧州における町づくりは歴史ある古い建物を残し整備して使うという発想のため、道路整備は遅れている、というよりも、再開発が禁止され、整備ができないというのが正しいのかも知れない。
 特にパリ市内における道路整備は皆無の状態であり、馬車で通行していた当時と全く変わっていないのである。

 ただ、駐車場スペースが無いため、道路の両側には一分の隙間もないように車を駐車しているのである。さらに、パリの市街地は凱旋門を中心として放射線状に道路網が広がっており、交通混雑が激しい上に、交差点内であろうが平気で車を止めているのである。
 交通マナーも悪く、信号を無視して我先に車を走行させるのである。聞いてみると先に進入した方が優先だという。まるで信号機があっても無かっても同じ様な状態であり、警察官がいても平気で違反をするのである。

 また、町には灰皿やゴミ箱が無いため、平気で煙草を路上に捨てたり、食べながら歩くのも当たり前、まるで道路が灰皿のようでありゴミ箱のようである。
 何故こんな状況なのか理由を尋ねてみると、フランスには大量の難民やパレスチナ人が2000万人も住んでおり、大統領の発言一つでゴミ箱や灰皿に爆弾を仕掛け、テロを起こしかねないからだということであった。

 しかし、道路の両側には太くて枝振りの良い街路樹が植えられており、緑のトンネルの中に道があるというような情緒のある町づくりになっている。
 もちろん落ち葉もたくさん散乱しているが、市民はこの情景を見ながら秋の風情や情緒を満喫しており、誰も文句は言わないのである。
 道路の清掃は行政が行うが、歩道は店先の人たちが行うとのこと、自宅前の落ち葉を掃除するのは当たり前で誰も行政に文句は言って来ないとのことであった。

 徳島の街路樹を考えてみると、せっかく伸びた枝葉をまるで電柱のように刈り込む作業を行う。一枚でも葉っぱが落ちると行政の責任だとの苦情があるからである。
 落ち葉がだめなら街路樹なんて金が掛かるばかりだから止めてしまえば良いとの意見もあるが、これでは人間にとって一番大切な情緒教育はできないのである。
 我々は欧州の心のおおらかさと自然を愛する気持ちに感動するとともに共鳴し、徳島の街路樹のあり方について検討していこうと意を固くしあったのである。

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